愛犬が年を重ねるにつれ、食事量が減ったり、まったく食べなくなったりすることは珍しくありません。
こんな悩みはありませんか?

「今すぐ病院に連れて行ったほうがいい?」
我が家も
「昨日まで元気に食べていたのに」「大好きなフードなのに」と心配になることがありました。

老犬の食欲不振には様々な理由があります。
この記事では愛犬の食欲不振の原因と具体的な解決策、そして体調管理のポイントをご紹介します。

食欲不振の5つの主な原因

食事量の減少には、複数の要因が絡み合っていることが一般的です。
愛犬の状態をチェックしていきましょう。

味覚・嗅覚の変化
加齢に伴い、味覚や嗅覚が徐々に衰えてきます。
以前は喜んで食べていたフードでも、香りや味の感じ方が変化することで、食欲が低下するケースが少なくありません。
個体差が大きく、この変化の現れ方も様々です。
体調の変化や潜在的な病気
食欲不振は、様々な疾患の初期サインです。
特に腎臓病や肝臓病、消化器系の疾患が隠れていることがあります。
また、食欲はあるのに食べられない様子が見られる場合は、口腔内のトラブルを疑う必要があります。
環境要因によるストレス
加齢とともに、環境の変化への適応力は低下していきます。
家具の配置換えや家族の生活リズムの変更、来客の増加など、一見些細な変化でも食欲に影響を及ぼすことがあります。
フードの変更と食事環境
長年食べ慣れたフードの突然の変更は、消化機能の低下と相まって食欲不振を引き起こす原因となります。
具体的には
- ドライフードからウェットフードへの急な切り替え
- フードの粒の大きさや硬さの変化
- 食事の時間や場所の変更
新しいフードへの移行は、従来のフードに少しずつ混ぜながら、7-10日かけて徐々に進めることが重要です。
>>こちらの記事でシニア犬の柔らかいドッグフードを紹介しています。
歯周病などの口腔トラブル
歯周病は老犬に特に多い問題です。
以下のような症状が見られる場合は、歯科検診を検討しましょう
- 歯茎の腫れや出血
- 口臭の悪化
- 歯のぐらつき
- 食事の際のむせこみ
- 食べ物をこぼしやすい
健康状態のチェックポイント

症状チェックリストです。
■緊急性の高い症状

■要注意の症状

効果的な栄養補給の方法

体調や年齢に応じた適切な栄養補給は、愛犬の健康維持に欠かせません。
効果的な対策を考えていきましょう。
食事環境の見直し
食欲不振の改善には、まず食事環境の整備が重要です。
■最適な食事環境作りのポイント
- 静かで落ち着ける場所の確保
- 食器の高さ調整(首への負担軽減)
- 滑り止めマットの使用
- 適温での提供(少し温めると香りが強まる)
- 決まった時間での給餌
- 少量多回(1日3-4回)の分割給餌
栄養価の高いおやつの活用
栄養価の高いおやつ
【おすすめの高栄養おやつと特徴】 ■ソフトタイプ(食べやすさ:★★★)
おやつの種類 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|
レバーペースト | タンパク質・鉄分が豊富 | 一度に与えすぎない(1日小さじ1程度) |
クリームチーズ | カロリー高め・食べやすい | 乳製品が合わない犬もいるため様子見必要 |
ウェットフード | 水分補給も同時に可能 | 開封後は冷蔵保存で2日以内に使い切り |
■セミハードタイプ(食べやすさ:★★)
おやつの種類 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|
やわらかささみ | 低脂肪・高タンパク | 保存状態に注意 |
スティックジャーキー | 噛む力の維持にも効果的 | 固すぎないものを選択 |
チーズ細切り | カルシウム補給に効果的 | 消化の様子を見ながら調整 |
食べやすい食事形態への工夫
食事の形態を工夫することで、摂取量の改善が期待できます。
■食事形態の工夫例
- ドライフードは少量の温かい水でふやかす
- ウェットフードとドライフードのミックス
- 缶詰やパウチの食事をペースト状に
- 食事を小さく刻んで提供
獣医師への相談タイミング

【獣医師への相談タイミング判断基準】
■即日受診が望ましい状態
症状 | 具体的な状態 |
---|---|
重度の食欲不振 | 24時間以上まったく食べない |
水分摂取の異常 | 12時間以上水を飲まない、または著しい多飲 |
全身状態の悪化 | 極度の元気消失、歩行困難、呼吸が荒い |
消化器症状 | 繰り返す嘔吐、血便、黒色便 |
口腔内の異常 | 明らかな出血、強い口臭、よだれが多い |
■要経過観察(2-3日以内の受診を検討)
症状 | 具体的な状態 |
---|---|
緩やかな食欲低下 | 普段の食事量の半分以下が続く |
体重の変化 | 1週間で3%以上の減少 |
活動量の変化 | 散歩を嫌がる、よく寝ている |
食事行動の変化 | 食べ始めは良いが途中で食べなくなる |
よくある質問と回答

Q1:食事を全く食べない期間が続くと、どのような影響がありますか?
A:24時間以上の絶食は、特に老犬にとって深刻な影響をもたらす可能性があります。
■絶食による影響と目安
経過時間 | 起こりうる影響 | 対応 |
---|---|---|
24時間 | 体力低下、脱水の初期症状 | 要veterinary check |
48時間 | 肝機能への負担増加、重度の脱水 | 即日受診が必要 |
72時間以上 | 全身状態の悪化、重篤な状態に | 緊急性が極めて高い |
Q2:水は飲むのに食べない場合は、どう考えればよいですか?
A:水分摂取があるものの食欲がない場合、以下のような原因が考えられます
- 口腔内のトラブル(痛みがあり、固形物が食べづらい)
- 消化器系の不調(胃部の違和感がある)
- 腎臓機能の低下(初期症状として多飲が現れる)
Q3:余命への影響は考えられますか?
A:食欲不振だけで余命を判断することは困難です。大切なのは
- 原因の特定と適切な治療
- 日々の細やかな観察
- 定期的な健康診断の実施
- 早期発見・早期対応
【まとめ】

老犬の食欲不振には様々な原因が考えられます。
早期発見と適切な対応が、愛犬の健康維持には不可欠です。
・毎日の観察と記録
・適切な栄養補給の工夫
・必要に応じた獣医師への相談
愛犬との大切な時間を、より健やかに過ごすために